■作る人と求めている人を繋ぐ場所 アリトイチゴ雑貨店

 アリトイチゴ雑貨店は高屋町中島のお店。近くに韓国料理の「韓の香り あかね」や「横山産婦人科」がある場所です。道沿いにある建物ですが、入口が奥にあり、秘密基地のようなわくわくするお店になっています。

 お店がオープンしたのは2010年3月。来年で15周年を迎えます。もともと作家活動をしていた店主の松浦さんが、「地元にお店があったらいいのに」という声を受けてオープンしました。始めてみると、他の作家さんの大切な作品を預かりながら、お店を運営するための実務も行っていくのはかなり大変。自らの作家活動の傍らで出来る作業ではないと気づき、お店に専念する決心をしたそうです。

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 アリトイチゴ雑貨店は雑貨屋さんではありますが、ただ雑貨を売っているお店ではありません。それぞれの作家さんが持つ世界観を表現する場所であり、生み出された背景も含めて作品を理解してもらう場所であり、そこに共感してくれる人に作品を届ける場所です。

 単なる“物”としてではなく、制作にまつわるストーリーも含めて、作家さんからお客様に作品をバトンタッチできるお店。それを実現するための架け橋となっている優しいお店です。

 また、アリトイチゴ雑貨店には貸しスペースもあり、教室として使うこともできます。Instagramを覗くと各教室が行われるスケジュールも確認することができました。ウクレレ教室、カイロプラクティック、己書など色々ありますが、取材に伺ったときは、ソウタシエ教室の真っ最中。ソウタシエとは中世ヨーロッパからの伝統刺繍で、コードと呼ばれる装飾用の平たいヒモをビーズなども使って華やかに加工するものです。日本ではまだまだ知らない人も多いソウタシエ。その先駆者である川口先生が、月に2度教室を行っているということで、市外から通って来られる方もいらっしゃいます。「ここが借りられるから、教室ができるんです」と川口先生。松浦さんとの信頼関係が垣間見えました。

 こんな風に作家さんと、作品と、誠心誠意向き合っている松浦さんが、こんなことをおっしゃいました。「思いを込めて作られたものは、それにふさわしい場所に行こうとする。だから、作品が買ってもらう人を選ぶんですよ。似合う人が来るまで待ってる。それが感じられる場面に何度も立ち会いました」と。

 アリトイチゴ雑貨店にはたくさんの作品が並んでいます。その一つ一つに込められた思いを聞きながら、探してみてください。あなたを待っている作品と出合えるかもしれません。