■子どもたちの感性が刺激し合う「アトリエ・うずまき」
「アトリエ・うずまき」は八本松にある教室。元気なこともたちが様々な創作を行っています。「アトリエ・うずまき」のコンセプトは「アートレジャー」アート×レジャーで、トレジャーです。イサム・ノグチさんの本で「レジャー」には「魂の開放」という意味合いがあると紹介されていて、先生はこれに深く共感されたそう。そのこともあって、コンセプトが「アートレジャー」になりました。
「アトリエ・うずまき」は、子どもたちのやることすべて“全肯定”というスタンスです。例えば、子供たちの創作活動の中で、先生の目から見ると、「そこが良いから残したい!」と思うことがあります。でも、子どもたちに「そこがいいから残して!」とは言わないようにしています。というのも、それを言わないでいると、それを超えるほど素敵な作品になっていることがあるからです。もちろん、言わないことで作品の仕上がりが今一つになる場合もあります。でもそれは次の作品製作で必ず生かせる経験になる。先生はそう信じて見守っていらっしゃいます。
そうは言っても、子どもたちがやりたい放題という訳ではありません。「こうした方がいいんじゃない?」と言って、一緒に考えることもあります。いずれにせよ、子どもたちの「こうしたい!」は一番大事にされています。
創作活動は描くだけではありません。最近では日本の伝統工芸でもある張子を作成しました。粘土型から子どもたちのオリジナルで、和紙を張り重ねて作るものです。芋掘りをして、掘ったサツマイモをモチーフに臨床美術という手法で描いたこともあります。毛糸を織って作るモビールなどの手仕事もしてみたり。子どもたちの興味をそそる活動がいっぱいです。
実は、9月にこの「アトリエ・うずまき」の作品展が予定されています。個人の作品もたくさん展示されますが、子どもたちの共同制作作品である“屏風”も出品されます。
夏休みが始まったばかりの7月25日、共同作品制作が行われ、その様子を取材させていただきました。八本松地域センターに集まった子どもたちは、元気を発散するため、走り回って遊んでいます。ところが、屏風と画材が準備されると、走っていた分のエネルギーすべてを屏風制作に集中させていきます。共同制作と言いながら、自分の感性を屏風にぶつける子どもたち。保護者の方など大人も手伝いますが、全くお構いなし。みんなそれぞれが自分の感性に飲み込んで行ってしまいます。個と個がぶつかり合う共同制作。どうなることやらと思いながら、完成を見ることなく取材を終えました。
ところが、その日のうちに送られてきた完成作品の写真を見てびっくり。個々のエネルギーを保ちながら全体が調和した1つの作品に仕上がっていました!
先生に全肯定されることですくすく育った子供たちの作品を見に、ぜひ作品展におでかけください。