■東広島に演劇の新風 劇団朧屋

 くららの配架コーナーで、手に取った演劇公演のチラシを見ていると、「旗揚げ公演」という文字が!しかも、東広島を拠点とする「劇団朧屋」です。東広島に新たな劇団が立ち上がる!ということで、早速取材にお邪魔しました。

 劇団を立ち上げたのは東広島ご出身の伊織さんです。きっかけとなったのは東広島での演劇体験。最初は10年前に出演した東広島市民ミュージカルでした。伊織さんは当時社会人1年目。それが演劇、初体験だったそう。なのに、いきなり主演。小さいときから興味があった世界が現実のものとなりました。これをきっかけに、次の公演にも誘われ、更には、芝居空間侍エレクトリカルパレードの作品にも出演することになります。

 そこで、興味を持ったのは殺陣。もともと好きでしたが、演劇をきっかけに気持ちに火が付きます。広島市内の劇団にも通い、殺陣の経験をつみ、技術を磨く一方で、殺陣の作品をつくりたいという思いになりました。そこで、「作品を書いてみたら、できた!」そうで、旗揚げすることとなりました。演劇をはじめてから10年目のことです。

 色々な劇団を体験し、お話も聞き、勉強してきたこともあって、劇団運営に何が必要かのノウハウは何となくわかっていましたが、実際やってみると色々大変だったそう。例えば、殺陣で使う刀。実は、どこの劇団でも刀は手作りです。作り方も材料も形も劇団によって様々。しかも、何より、安全第一。ケガがおこりにくいものにしないといけません。どんな形にするかを決めて、試行錯誤の末、イメージ通りのものができました。とはいえ、これで終わりではありません。仕事の後や休みの日にコツコツと1本ずつ作り続ける日が続いています。

 というのも、劇団朧屋の団員は1人。伊織さんだけなんです。そう伺って驚いたのですが、劇団には、そういうケースも珍しくないようです。1人でストーリーや脚本、殺陣などをつくり、役者を集めて演じてもらいます。

 今回のキャストは福山市や広島市、呉市の演劇仲間が中心で、他の劇団で代表を務める方も複数参加してくれているので、旗揚げ公演にも関わらず、順調に練習を重ねているそうです。

 取材の時も、一つ一つを確認しながら、意見を出し合いながら、熱い練習が行われていました。「練習の中で、実際の演技が、自分の想像を超えてきたときが最高です。」と伊織さんはおっしゃいます。どう仕上がるのか、楽しみです。

 公演作品は「灯火―ともしび―」。この作品では、いろんな登場人物が出てきますが、それぞれがそれぞれの守るべきもののために命をかけて戦っています。当然、命を懸けるに至ったきっかけも様々。人生はきっかけを得ることで大きく変わります。「あなたの人生に灯をつけるきっかけは何ですか?」観客に問いかけています。

 東広島で始まった新たな演劇の灯火が大きく育っていく姿を一緒に見守っていきましょう。

 チケットは、予約1500円、当日2000円。チラシのQRコードからお申込みください。

 お問合せ 劇団朧屋 080-9796-2668