◾️楽団「praparat.(プレパラート)」

楽団「praparat.(プレパラート)」は2012年に立ち上げられました。固定メンバーは1人。東広島市在住の小方祐馬さんです。小方さんがつくる音楽を表現し、演奏するためのプロジェクトです。今回、取材の為に自宅スタジオへお伺いしました。

プレパラートという名前は、顕微鏡でのぞく対象物を挟む、あのガラスの名前。そこから命名されました。バンドとして、常に新しい実験をし予測できない世界を見たいという気持ちにぴったり。響きもおしゃれ。ということで、飲み会で決定したそうです。

 私の勝手な印象では、音楽活動をする方は、何か特定の楽器を長年練習して、その楽器を使っての音楽表現を楽しんでいらっしゃることが多いような気がします。

 小方さんはというと、ピアノ教室に通ってもピンと来なくて2年で終わり。中学校の吹奏楽部でチューバを担当するも、高校ではユーフォニアムに憧れてチューバから転向。と、一つのことを極めることよりも、新しい音に心を奪われることで、音楽への興味をかきたてられていった方のようです。大学では吹奏楽、アカペラ、マンドリン、口笛、ジャズバンドなどを体験して、異ジャンルの音楽を組み合わせ、プレパラートのもととなるような活動が始まります。

 小方さんの音楽へのアプローチはとても珍しいものです。というのも、一言で「音楽」といっても、その種類は様々です。クラシック、JAZZ、ブルース、ロック、ポップス、レゲエ、ラップ、演歌といろいろあります。これらのうち、どのジャンルが好きかと聞かれれば、複数のジャンルを答える方もいるかもしれません。ただ、ジャンルを超えて演奏が楽しまれるケースはあまりありません。

ところが小方さんが作る音楽は、ジャンルを超えた、新しい音楽。使う楽器はパソコン楽器がメインです。バンド音源をつくってアレンジ。活動開始当初からデモ音源だけでなく完成形も作って同期演奏を行っていらっしゃいます。そこに合わせる楽器もさまざま。パソコン楽器では出せない楽器を中心に、生の演奏で合わせていきます。

そんな風につくられた音楽に賛同してくれているメンバーは、音楽の捉え方が柔軟な方ばかり。現在も10名以上が在籍しています。

一緒に取材を受けていただいた、MANAMIさんは、現在最も主要なメンバーで、グロッケン、ピアニカ、ボーカル、コーラスなどを担当していらっしゃいます。元々は単独でボーカルとして活動していらっしゃいました。一時期、声が出なくなった経験をお持ちで、その期間にグロッケン担当としてプレパラートに合流。2か月後には、コンサートに参加されました。

MANAMIさんは、小方さんの音楽づくりの才能を絶賛されます。「私も作曲を行うのですが、枠組みを作ることはできますが、アレンジは周りに任せてといった感じです。でも小方さんは、各楽器の音のイメージまでしっかり持ったうえでアレンジも行える。素晴らしいです。」ただ、最後に一言、気になる言葉が…「でも、最初は歌わせてもらえなかったんですよ。」

実は、小方さんは自分の思う音楽にこだわり、それを貫いていた時代もあったそう。

素敵な声を持つMANAMIさんであっても、自分の曲を歌ってもらうのは抵抗があったそうです。ところが今は、その気持ちにも変化がありました。

「昔は、自分の世界を表現したかったんです。でも今は、メンバーの能力を借りて、自分ではたどり着けない音楽ができることが楽しい」と小方さん。ボーカルをMANAMIさんが担当することも増えました。これもメンバーへの信頼があってこそという部分もあり、自分を超えて、音楽を進化させています。

 これまで、広島市内を中心に演奏活動を行ってきたプレパラートですが、小方さんの東広島市に引っ越してきたことをきっかけに、これからは東広島での活動を増やしていくそうです。

 直近では、今度の土曜日、1月18日に西条中央公園で行われる「ひとむすびダイドコロプロジェクトvol.1」で午後1時~美術館前のステージで演奏予定です。

その後、3月15日(土)にはくららでのコンサートに出演予定。

広島市内ではありますが、5月24日(土)には西区民文化センターでのコンサートにも出演します。

 

Youtubeチャンネルもあります。時々ライブ配信も行われているそうです。

演奏依頼もお待ちしております。

これまでの活動の中で、音楽を続けていくことで認めてもらえるようになるという実感を得たと小方さんはおっしゃいます。

ぜひ、これからの「プレパラート」にご注目ください。