■ 里山の自由空間 「アトリエ 宙と廷(ソラトニワ)」

 アトリエ 宙と廷(ソラトニワ)は 豊栄町乃美にあります。築120年を改装したスペースで、古き良き日本の農家の趣と潜在する美を引き出してくれるデザインが共存しています。


 ここで楽しめることはいろいろあります。今のイチオシはバーベキューやピザ作り。バーベキューは食材込みで1人5500円〜、ピザ作りは2名5000円から楽しめます。予約すれば、和、洋、中、それ以外にも幅広い料理に対応していただけますので、レストラン風にご利用いただくこともできます。また、民泊(1人1泊9900円〜)での利用も可能になりました。


 東広島アーツコンシェルジュとして注目したいのは、「アトリエ 宙と廷(ソラトニワ)」のアートな側面。まずは、ギャラリーとしての利用について。これまでの、作品展示が行われており、来年3月にも琉球織の展示が予定されています。
 気になるのは、どこのスペースに作品展示かできるかということ。アトリエ 宙と廷(ソラトニワ)は、周りをぐる〜っと縁側が囲んでいて、大きな掃き出しの窓となっているのが魅力の1つ。室内に入っても外の風景を満喫できます。逆に考えると、展示ができる壁がないということになってしまいます。伺ってみたところ、展示を行う際には、障子の代わりに専用のパネルが設置されるそうです。


 二間続きのメインのお部屋が、パネルをはめることで、ギャラリーに変わります。別棟のスペースも利用可能で、レンタル料は1時間1000円。長期間の展示を行いたい場合の利用料に関しては応相談ということです。


 音楽演奏会の場所として使うこともできそうです。ソファーの後ろにピアノを発見しました。建具を外して、お部屋を舞台にすれば、たくさんの人に聴いてもらえそうですね。別棟はワークショップにも良さそうです。
 アトリエ 宙と廷(ソラトニワ)のアートな側面は、場所だけではありません。オーナー清水早苗さんにも注目です。清水さんの本業はデザイナー。ポスターやパッケージ、本の装丁やロゴマークまで数々のデザインで多数の受賞歴をお持ちです。清水さんの最近の関心は地域の再生。地域の魅力を発信するマルシェを立ち上げたり、古民家をイベントスペースに生まれ変わらせたり。古い家を見ると、その家が生まれ変わった姿をイメージする事ができるのだそうです。


 清水さんのお話を聞いて、特に、すごい!と思ったことが2つあります。
 まず、地域再生をデザインの力と組み合わせたこと。ありのままの古民家も魅力的ですが、デザインが加わることにより、商品価値を生み出します。素朴な優しさと都会的なオシャレ感の共存が、人々の欲求を一気に高める組み合わせだということを提案してくださっています。


 もう一つは、古民家再生作業を自ら行っていらっしゃること。アトリエ 宙と廷(ソラトニワ)も元々は普通の古民家でした。それを地域の方の協力のもと、ご自身の手で生まれ変わらせ、同じ豊栄町の高沖邸や新木邸もイベントスペースとして再生しました。そこを使って、今年の夏には賀茂北高校の生徒の皆さんと夏カフェというイベントを行ったそうです。


 「大掛かりなことをしなくても、古い家から、一度、全ての家具を運び出して、綺麗に掃除し、再び運び込む。それをするだけでも家は再生できます。仏壇があるからイベントスペースとしては使えないと言われますが、仏壇の扉を閉めるだけで、利用できる場合もあります。空家の利用法を提案することで、地域が活性化でききるといいですね」と清水さん。イメージを形にする方法を提案してくださいます。
 こんな清水さんに、あなたのアートを相談するとどうなるでしょう。思いもかけない新たな一歩が始まるかもしれません。