■クラリネット奏者 高西望さん

 東広島芸術文化ホールくららでは、音楽普及啓発事業として、市民に生演奏の鑑賞や楽器に触れる機会を提供したり、学校関係者や地域の方々との交流を目的とした事業をおこなっています。その中で、市内小中学校や各施設で実際の演奏を通して音楽の魅力を伝えるために、登録アーティストの方が活動してくださっています。今回ご紹介する高西さんもその一人。私たちに音楽の楽しさを伝える活動をしていらっしゃいます。

 今年の春に行われたガラコンサートで高西さんの姿を拝見しました。このコンサートは、毎年3月に行われていますが、ただ聴くだけでなく、音楽をより身近に感じさせてもらえるコンサートです。高西さんはここで曲を演奏する際、クラリネットの部品を1つずつ外しながら演奏を続け、最後、マウスピースだけになっても吹き続けるというパフォーマンスを見せてくださいました。クラリネットにはこんなにたくさんの部品があって、こんなに小さくなっても音が出るという驚きと、コミカルな演奏に笑ってしまうような面白さがありました。

 実は、高西さんは生まれも育ちも東広島。もちろん、音楽に出会ったのも東広島です。小学5年生の時、寺西小学校の金管バンドに入ったのがきっかけでした。クラリネットに出会ったのは、西条中学校吹奏楽部です。

 クラリネットは音を出すことが難しい楽器。体全体から絞り出した大量の空気を一気に吹き込むことで音が出るそうですが、吹き口が小さいので、多くの人はうまく空気を入れられません。それにも関わらず、高西さんが吹くとすぐに音が出ました。これがきっかけでクラリネット担当に決まったそう。

 「もともとトランペットがやりたかったんですが、クラリネット担当に決まったことが嫌だとは思いませんでした。音が出たのは運命だったのかもしれません。クラリネットのための曲がたくさんあって、私はその曲が大好きなんです。だからクラリネットは楽しいです」と笑顔で話してくださいました。

 クラリネットは、他の楽器と音が違うという特徴があります。もちろん、音階はドレミなのですが、ピアノのドの音とクラリネットのドの音は違う音なんだそうです。絶対音感がある方はそれが気持ち悪いと感じることもあるそうですが、高西さんは抵抗なく受け入れられました。

 楽器の管理もとても大変。寒い冬の日、冷えた楽器に温かい息を吹き込むと、パリッと割れます。楽器は生きもの。温度も湿度も管理が必要なんですね。

 いろいろなことを乗り越えながら、高西さんが東広島で音楽活動を続けていらっしゃるのは、留学したドイツでの体験の影響が大きいと言います。そこは、生活の中に自然に当たり前に音楽がある世界でした。東広島の人たちにもそんな風に音楽を楽しんでもらいたい。というのが高西さんの目標の一つになりました。

 高西さんの演奏をぜひ聞いてみてください!コンサートが11月12日(日)午後2時~くらら小ホールで予定されています。この日に予定がある方も、次の機会にぜひどうぞ。