■其阿弥美術館 黒瀬

 其阿弥美術館の話をすると「黒瀬に美術館があるの?知らなかった!」と言われます。あるんです。黒瀬に、美術館が!其阿弥美術館の其阿弥は其阿弥赫土さんの其阿弥。画家の先生のお名前です。この美術館には其阿弥先生の作品が展示されています。

 其阿弥赫土さんは呉市出身。大正14年生まれで、東京美術学校在学中に戦争を経験しました。ご自身も出兵し、その時の体験が先生の考え方や人生に大きく影響しているといいます。

美術館1階に展示されている「鶴」という作品があります。

 この絵には9羽のタンチョウヅルが描かれています。繁殖という種としての使命のために、自らの命を危険にさらしてまでも旅立とうとしている鶴。其阿弥先生はここに自分を重ねているといいます。自らの使命として、思いを遂げられず亡くなった多くの命の絵を描き続ける。その決意を描いています。

 其阿弥美術館は建物としても評価されています。世界的なイタリア建築賞である"Dedalo Minosse International Prize , 8thedition 2010-2011. Award "受賞の最終候補に選ばれたり、日本では「日本建築デザインアワード100選」、2015年に「芦原義信新人特別賞」など数々の栄誉を受けてきました。コンセプトは「光と風の差し込む其阿弥美術館」。肩ひじ張らずに、日常生活の中の自然体で絵を楽しんでほしいという思いで建てられたそうです。

 2階は常設展。樹齢数百年の木、時代を超えてあり続ける滝など、そこにある自然の息づかいを届けてくれる数々の絵。決して光の当たらない場所にある命を照らしているようです。

 最近は、台湾や香港から観光バスで見学に来るケースも増えているんだとか。一方で、東広島市からの来訪者はほとんどいないそうです。ぜひ一度、訪れてみてください。そして、「黒瀬には其阿弥美術館があるよ」ってまわりのみなさんに教えてあげてください。

其阿弥美術館 (0823)82-8241

開館時間 午前9時~午後7時

休館日  木曜日、土曜日午後、日曜日、祝祭日

入場無料